関西学院大学探検会

富士樹海洞窟群合宿

期間:2002年11月1日〜4日(洞窟内2日)
目的:今後の本格的な探索のための青木が原樹海に点在する洞窟群の偵察および調査、洞窟内の磁気以上、および樹海の磁    気以上を確認する。
費用:6,500円
隊員:隊長 三村知之(法4) 副隊長 日比野陽平(法4) 会計/記録 北原知也(社4) 食料 西垣慎二(文2) 装備 渡部彩(経1)
緊急連絡先など:現役 古賀良太郎 OB 広高一典 顧問 芝田正夫教授(社)
        現地 市川警察署、富士吉田警察署、上九一色村役場
行程:
11/1(金)22:00 西湖、野鳥の森公園にテンバ設営

11/2(土)4:30起床、食料調達組が河口湖で釣り 8:00テンバ撤収し、出発 11:20背負子第2風穴 12:00休憩 13:30メガネ風穴 13:50大室風穴 14:20背負子第1風穴・入洞15:30出洞 16:00精進登山道、神座洞窟群林道の分岐付近テンバに到着 慶応大探検部と情報交換 晩飯、就寝
 
11/3(日)6:00起床 7:50出発 8:00富士風穴、北側に入洞 8:55出洞、休憩 9:05南側の穴に入洞 9:55洞窟内で休憩 10:40最深部到着 11:50出洞 12:00テンバ着、撤収 13:40出発、精進登山道を北西に進む 14:40精進御穴月洞到着、入洞 15:00出洞 15:50車にてテンバ移動 17:30野鳥の森公園にテンバ設営、合宿終了報告
 
11/4(月)帰途に着く 19:00帰阪

報告:
   (11/2)国道139号線をひばりが丘三叉路で県道71号線に折れ南下。大室山付近で樹海に入る道を探す。わかりにくいが、道路から10mばかり東に入ったところにガードレールと林道らしきもの、南東に続く精進道をふさぐゲートが見える。車を置き、荷物を背負って歩く。5分ほどで富士風穴の石柱がある。下見をしていく。もう5分ばかりいくと分岐がある。そのまま進めば天神峠、富士山へと続く道、もうひとつ右に出る道は大室山を巻いて大室風穴や背負子風穴に出る道である。
そこの分岐にテントを張る。個人用テント3張。つなぎを着て支度を終えると早速背負子穴に向かう。まず、背負子第2、3風穴に行く。小さな看板が道の脇の木につけてあるが当てにならないことが後になってわかる。あくまで2万5千図と磁石で勝負したい。それにしてもわかりにくい道ばかりであった。看板の林道から北にほんの踏み跡程度のわき道をたどると行き着いた。しかし、この洞窟はほんの5分で終わる。ただ向こう側に通じているだけだった。


   次に今日のメインである背負子第1風穴を目指す。2時間弱探し回っても見つからないが、代わりにめがね穴と大室風穴を見つけた。めがね穴は以外に大きな洞口で、中に入る。この穴は、洞口から2mばかり降りると、さらに下に続く道と、南側に続く道にルートが取れる。下に続く道は立って歩ける高さがあり、幅は人一人分ある。でもすぐ行き止まりになる。南のルートはしばらく中腰になって進むと地上に抜け出ることになる。出るとそこにもめがね穴の看板があり、入洞口にはものの1分もかからず戻れる。


   13:50大室風穴に行く。ここも道に看板が出ているがわかりにくい。看板左の道から北にわき道がかろうじてわかる程度に出ている。ここは北原が見つける。天然記念物と書かれた看板が出てくる。しかしここはもうだいぶ前に陥没してしまったらしくふさがっていた。


   目指す本日のメイン背負子第1風穴は、背負子第2・3風穴の看板のあるところまで引き返しあたりをもう一度探すと、看板の北に続く細い道沿いの右手にわき道があり、ここも北原が洞口見つける。14:20に入洞。


   まず入って見ると、西にはって入れるほどの穴が2つ開いている。どちらも同じ小ホールにでる。ホールから北に向かって歩く。溶岩洞窟の独特な鋼色の壁面が見られる。中は広くたって歩けるほどだ。ここでは二重洞窟が見られる。しばらく奥に進むと狭まっていき、隙間はあるが行き止まりで西垣が挑むも先にはいけないようだ。いったん引き返す。はじめに戻って、今度は渡辺の見つけた東側に続くルートを行く。体を小さく折り曲げて進む。壁のざらざらした突起がつなぎに引っかかり、ひざ歩きも痛い。だがここもしばらく進むと行き止まりとなった。日比野と西垣が他に穴を探すがどうやらなさそうだったので15:30出洞。いまいち洞窟に来たという満足感を得られないままテン場に戻る。焚き火を起こしキムチなべをする。慶応大探検部が近くにテントを張っていて西垣と日比野が情報交換する。夜でありながら富士風穴に向かい、3時間ほどで帰ってきた。この晩は樹海の暗黒を楽しむ。


   (11/3)8:00富士風穴入洞。北の穴に入る。ここは氷穴だ。木のはしごを降りると床一面にふかいところで10cmほどの氷が張っている。小さいながら氷のオブジェもできている。つららはない。次第に下っていく。滑って遊びながら行く。天井は高い。一度匍匐前進で子穴を抜け際億部まで行く。小穴があるが、氷水に白骨化したこうもりが浮いていて、日比野が体を氷水につけて小穴に挑むも先にいけそうにない。8:55出洞。アイゼンの必要性は感じなかった。
9:05南の穴に入る。まず下りてガレ場を下ると突き当たり上部の小穴から体をねじりこませて入る。穴は下に続いている。どでかいホールに出ると、がれきを登ったり降りたりしながら西へ西へと進む。でかい瓦礫の道がしばらく続きいささか飽きてくる。次第に方向を南に変え、穴が狭まってくるところで9:55休憩。日比野が氷水で冷え切った足を暖める。休憩後狭い穴を抜けるとまたホールに出る。瓦礫を登ってホールの上部に行く。細い穴がある。ここからは河内風穴のどんがらのような穴を這いつつ進むが、つなぎやサブザックが引っかかって進みにくいことこの上ない。瓦礫の隙間のような穴なのでいつ崩れるかも心配だった。10:40人一人はいつくばってやっと入れるスペースの最奥部に着く。東海大の残したここが最後と書かれた紙切れや缶が置いてある。この最後の部分は面白かった。11:50出洞。テン場に戻り行動食を食べ、撤収準備。県道71号に戻り、いったん車に荷物を積む。


   次に、精進登山道を北西に進む。明るい樹海の道だ。途中動物の背骨らしき骨を見つける。人ではなさそうである。1時間歩き、精進御穴日洞窟に着く。ここは磁石の以上が見られる洞窟らしいが、結果的に異常は認められなかった。何かの宗教の聖地になっているようだ。洞窟の上にはお墓が並び、洞窟の中には怪しげな碑が有機的ななんともいえぬ異臭の中に立っていた。怖くなって15分ほどで引き上げる。
   車に戻り、17:00緊急連絡先に合宿終了報告をする。17:30野鳥の森公園に再びテントを設営。


総括: 溶岩洞窟内部の独特な内部、壁面や氷穴は一見の価値があるとはいえ、どれも小ぶりな穴で、不満を残す合宿だった。          樹海および洞窟内での磁力異常も確認されなかった。樹海内部を歩き回る目的は洞口探しのときにいやというほど達成された。河口湖でのバスつりはボウズだった。装備では溶岩洞窟ではそこの厚い登山靴が適当のように思われる。狭い穴に入るところでは邪魔だが、洞窟内のがれき登り降りが多く、岩もがりがりでそこの浅い靴だと痛いのである。氷穴は、軽アイゼンがあれば氷のスロープを登るときに楽である。服装は、寒い時期の寒い洞窟だったので、つなぎの下にみんな3〜4枚着込んで入ったが防寒対策としては適当だった。明け方、おりしも日本列島を襲った寒波で気温は0度まで下がった。日中で6度ほどだった。洞窟内と外では気温の差はあまりなく、心から冷えた合宿だった。頂を雪に覆い、広大な裾野を紅葉させた富士山はすばらしかった。洞窟が不服なものだったからか、富士山の麗しい姿がひときわ大きく印象に残っている。
(2002年11月8日 文責・北原知也 報告書内の時間の記録、地図作成は西垣慎二による)
 

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