関西学院大学探検会

八ヶ岳合宿報告書

 

期間:1月3〜7日
場所:南八ヶ岳(硫黄岳、赤岳)
メンバー:北原、服部、日比野
行程:3日 移動日 大阪〜茅野駅
4日 美濃戸口〜美濃戸山荘〜赤岳鉱泉(宿営地)
5日 赤岳鉱泉〜硫黄岳〜赤岳鉱泉
6日 赤岳鉱泉〜行者小屋〜地蔵尾根〜赤岳〜地蔵尾根〜行者小屋〜赤岳鉱泉
   7日 赤岳鉱泉〜美濃戸口 バスにて茅野駅〜大阪

詳細:
1月3日 (天気:雪)
10:15高槻駅に集合、出発。木曽福島あたりで服部の足がくさいことが発覚。
道中暇だったのでトランプに興じる。ばつゲームのしっぺで全員腕が痛くなる。
18:00茅野駅到着。プリクラをとろうとするが閉店時間のため断念。
19:00夕食。北原特製パスタ(インスタント)。その後テント設営。
22:00寒さに耐え切れずテントに入り、またしてもトランプに興じる。
→就寝
※この晩から雪が降り積もる。

1月4日 (天気:曇り・強風)
6:30頃、妙にハイテンションの北原に起こされる。北原はトランプで負けて朝飯当番のため5:30起床。ダシからつくったソバをいただく。
7:50バスにて美濃戸口へ。
9:55雪が降る中、八ヶ岳山荘を出発。
11:15美濃戸山荘〜15:50赤岳鉱泉着、テント設営。
夕食は鍋。夕食後トランプにて朝飯当番を決める。またもや北原に。
雪かきをした後21:30就寝。
※ テントの中でランタンのふたが落ちて北原のカッパズボンに穴があく。

この日は昨晩から降り始めた雪が止まず、朝起きてみると道路にかなり積もっていた。この天気が続くと明日からの行程が心配だ、と思いつつバスに乗って八ヶ岳山荘へ。
とりあえず山荘の前で記念撮影をして出発したのだが、歩き始めたころぼくはまだこの後自分に降りかかる苦難を予想だにしていなかった。
歩き始めて15分ほどたったころ、今までの山行では感じたことのないほどの疲労感と肩の痛みが襲ってきた。そう、僕は登山のセオリーを無視して前と後ろの両方にザックを背負って歩いていたのだ。前に抱えたザックは北原が持ってきた食糧ザック。やたらに重いので北原に内容物を尋ねたところ、おでんの材料やら大根やらキュウリやら、非常に重いものばかりで、さすがにこの時は北原を呪った。
ともあれ八ヶ岳山荘から赤岳鉱泉に至る道中は順調で、途中で休憩した美濃戸山荘では暖かいお茶と野沢菜が振舞われたり、と楽しく歩くことができた。登山道も大したアップもなくトレースもあったので問題なくテン場に到着。テントサイトの雪を踏み固め、持ってきたスコップで雪かきをする。初日ということもあってはしゃぎながらの作業で、みんなご機嫌だった。
夕食は味噌仕立ての豚鍋。僕はひそかに、自分を苦しめた材料たちに仕返しでもするような気持ちでひたすら食べた。実においしかった。
夕食後には先の大山合宿で大ブレイクしたというトランプに興じた。ばつゲームは翌日の朝食作りということもあってとても白熱した戦いとなった。北原は思いのほかというか、思ったとおりというか、とにかくダントツに弱く、あっというまに敗北、朝飯作りが決定した。この分だと毎朝北原が朝飯当番だな、とみなが感じつつシュラフにもぐり込んだ。

1月5日 (天気:雪・強風)
6:00北原起床。6:30その他起床。雪かき、朝食。
9:05赤岳鉱泉出発。
10:55オーレン小屋への分岐点
11:30標高約2700m地点で撤退
12:50テン場着
小腹がすいたので服部プロデュースのぜんざいを大量に食べ気分悪化。
夕食後、ラジオにて雪崩のニュースを聞き不安になる。
21:00就寝

朝起きるとシュラフとシュラカバが凍りつくという信じられないような事態が起こっていた。さすが極寒で知られる八ヶ岳。でもこの寒さは想像以上だ。ポリタンはもちろんのこと、ありとあらゆるものが凍りついている異常な世界。
気を取り直して朝飯の汁ビーフンをいただく。旨い。ひょっとすると今回の食糧の中で一番ヒットではないだろうか。グッジョブ北原!
今日も天気は回復せず、雪が降る中での出発となる。支度小屋でアイゼンをつけ、硫黄岳を目指して歩き出した。出発が比較的遅かったこともあって、すでに出発したパーティーのラッセルによって順調に歩くことができた。でも寒さはかなりのもので、小休止の時に手袋をはずすとすぐに指先の感覚がなくなってくる。みんな指をもんだり手をたたいたりして血の流れをよくしていた。樹林帯をぐねぐね2時間ほど歩くとだんだん木がまばらになってくる。標高2600mの分岐点に着いたころには木はほとんどなく、それまで風と雪を防いでくれていたことを思い知った。稜線では風がとても強く、視界も悪い。それでもなんとか標高2650m地点のケルンに到達したころには視界がさらに悪化していて、このまま頂上を目指すか撤退するかを話し合った結果、もうすこし登ってみることに。あたりにほとんど人がいないところを見ると、この地点で引き返しているパーティーがほとんどのようだ。なんとかルートを見つけ出して登っていったのだがさらに視界が悪化してきたので、目印にぼくと北原のザックを置いてもう少しだけ進むことに。そこから約10分ほどの地点でほぼホワイトアウトに近い状態になったので、引き返すことにした。おそらく標高2700mぐらいの地点で、頂上まで標高にしてあと50mといったところだっただろう。その後の爆裂下山の結果、昼ごろにはテン場に到着。またまたトランプなどしながらゆっくりと過ごした。
そうこうしているうちになんだか小腹が減ってきたので、服部が用意してきた餅入りぜんざいをいただいた。このとき新たに発見したのだが、ぜんざいにチョコフレークをふりかけると抜群にうまい!日比野に感謝。しかし調子に乗って食べ過ぎたのでみんな気分が悪くなったようである。
もはや恒例となった朝飯当番トランプ大会であるが、勝負が見えているため取り止めとなり、明日は全員で朝飯作りをすることに。

1月6日 (天気:曇りのち快晴・強風)
5:00起床(全員)。マヨネーズ焼きそばを食べる。
7:40出発
8:40行者小屋着。小休憩の後地蔵尾根へ
11:30赤岳展望荘。強風のため一時待機
12:00撤退
13:00行者小屋。大休止。
15:00中山展望台を経てテン場着
21:00就寝

快晴の冬山の空は最高だった。紺に近い青である。太陽がこれほどありがたいものだとはとは思わなかった。
テン場を出発してしばらくは相変わらずの曇り空だったが、次第に空が明るくなってくるのがわかり、今日は晴れるんちゃうん!とはしゃぎながら歩く。行者小屋に着いて休憩していると雲の切れ目から大同心と小同心がきらきらと光って見えた。とても神秘的で、ここぞとばかりに写真をとりまくった。出来上がった写真を見るとそうでもないけれど、このときは最高にきれいだった。
だんだん晴れてくるのがわかり、みんな後ろを振り返って景色を見ながら歩く。地蔵尾根を上り始めたころにはトレースがほとんどなくなっていて、ラッセルをしなければ進めなくなった。一人5分交代でラッセルをしたのだけれど、深いところは腰まで埋まるほどでなかなか前に進めない。おまけにものすごい斜度で、地蔵尾根を登りきったころにはみんなへとへとになっていた。
稜線にでるとものすごい風で、赤岳展望荘に着いたころにはまともに歩けないほどになっていたので一時待機して様子を見ることにした。30分ほど待ったが風は弱まらないし、時間も引き返す予定の12時になったため頂上を目の前にしながら断念、下山を開始した。
ちなみにこのとき展望荘の温度計を見てみると、マイナス20度を振り切っていた。どうりで寒いはずだ。
風のある稜線では気をつけながらゆっくりと下山し、地蔵尾根まで戻ってくると、行きしにつけたトレースが延々下まで伸びている。ここは尻すべりであっという間に下まで降りた。このころには空は完全に晴れていてとても気持ちのいい下山。1時間ほどで行者小屋に帰ってきて、ゆっくり行動食を食べてコーヒーを飲む。ここからの赤岳の眺めは最高で、1時間くらいぼーっとした。隣で休憩していた社会人グループに、かわいいとおだてられた服部は一人ではしゃいでいた。
頂上まではたどり着けなかったけれど、この三日間で一番の天気で、ものすごく楽しく充実感のある一日だ。心残りは夕日が沈むところを見逃したこと。あまりにも寒くてテントの中で震えていたらいつのまにか暗くなっていて、あわてて外に出たのだけれど、時すでに遅し。小屋泊まりのおじさんに、「え〜、見てないの〜?」と馬鹿にされつつテントに戻って最後の夕食をいただいた。

1月7日
5:00起床
朝食後テント撤収
8:00下山開始
9:00美濃戸山荘
10:15八ヶ岳山荘着
11:17バスにて茅野駅へ
20:45高槻駅にて解散

今日は最終日。さっさと撤収して下山しようと思ったのだけれど、テントのポールが凍り付いて離れない。一箇所づつライターであぶって溶かしていった。そのおかげで出発が遅れて風呂の時間が少々短くなってしまった。
ともあれみんな凍傷にもならず無事に下山できたし、冬の八ヶ岳の厳しさを体験できた実り多い合宿となった。

感想および反省:
まず反省点としては、3人とも冬の八ヶ岳をなめていたということ。寒いとは知っていたけれど、まさかこれほどとは思っていなかった。シュラフは必ずマイナス20度以下対応のものを持っていくべき。手袋もオーバーミトンと中の手袋一枚では厳しい。発熱性のある手袋の上に、もう一枚毛糸の手袋をしてその上からオーバーミトンをつけると良いだろう。靴下も暖かいものを二重にはくぐらいは最低でも必要だ。服装も、これで大丈夫だろう、と思うものにもう一枚プラスぐらいでちょうど良い。
今回の合宿では二日とも山頂の手前で撤退しなければならなかったけれど、その際の隊長北原の判断は良かったと思う。あとちょっとで山頂だと思うとついつい登りたくなるけれど、危険を感じればすぐ撤退ということは、山のセオリーだ。でも、わかっていてもその場にいると冷静な判断ができなくなる場合があるので、判断はよほど慎重に行うべきだと感じた。
最後に、赤岳鉱泉のトイレは非常にキレイ&無臭でめちゃくちゃ快適だった。何でも去年の12月に改装したばかりとのこと。あのトイレが使えるんだったらテン場代1000円もありかなー、と思うほど。
残念ながら今回は赤岳の頂上にたどり着けなかったので、ぜひもう一度チャレンジして山頂からの景色を眺めてみようと思う。

記録:日比野

 

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