関西学院大学探検会


沖永良部島洞窟合宿

期間:2005年9月2日(金)より2005年9月10日(土)まで

場所
 鹿児島県沖永良部島   

目的
 日本屈指の洞窟密集地帯である沖永良部島にて、沖永良部島ならではの多種多様な洞窟を探検する。
 銀水洞、白鳳洞、水連洞、桃源洞、海見洞を探索する。

目標
 大型合宿であり、隊員の安全と健康に配慮し、集中力と積極性を合宿終了までしっかりと維持する。

費用
 飛行機往復代 22200円 宿泊地代   2200円 フェリー代 8000円
 予算約50000円

参加者名簿

本人氏名 学部 学年 性・年 役割
小川 武 社会 4 男・24 副隊長
渡部 彩 経済 4 女・21 食糧
諏訪 創 法 2 男・19 装備
千綿 麻子 文 2 女・20 装備
津幡 偉 経済 2 男・19 副隊長
仲川 裕貴 社会 2 男・20 食糧
安岡 裕介 文 2 男・19 隊長
日高 悠有 商 1 男・19 記録

夏休み中の大型合宿のひとつである、沖永良部島洞窟合宿にむけて、事前に岡山県での洞窟合宿、岩場でのトレーニングを行い、技術面と精神面両方をたかめることに集中し、合宿本番にこぎつける事ができた。
実際に沖永良部島の洞窟を探索するにあたって、事前の訓練が大いに役立った面も多々あったが、まだまだ足りない点があったことも確かである。
  今回は先に帰らなければならない諏訪隊員、小川隊員の班と最後まで残る班それぞれに副隊長を置き、臨機応変に合宿を組み立てていくことを目指したが、今後のためを思うと、渡部隊員と小川隊員に役割を任せるのではなく、今後探検会の活動の中心となる二回生が役割を背負うべきであったことを反省している。役割の振り分けも合宿開始間近まで決めることができなかったことも反省するべき点である。
  食糧は8人分を現地のスーパーで買いだめする方式をとり、スーパーに長居することになったが、食事の水準は比較的高く、洞内探索にむけての滋養を養うことができた。
  装備は今回大量に準備しなければならず、一番大変な役割であった。沖永良部島での活動に際しても不足するものはなかった。準備は完璧にできており、加えて様々な装備を幾度も移動し、使用したにもかかわらず、大量の装備全てを無事大学内倉庫に変換し、装備の役割を果たした諏訪隊員と千綿隊員には深く感謝している。
記録に関しては日高隊員が常にメモをとって日程や、洞穴までの地図、食糧のメモなど、合宿活動中そのメモをもとに多くの判断ができた。しかしそのメモが現在見つからないのは、報告書を書く立場としては少々つらい。記録の役割を伝え切れなかったことと、記録の重要性を理解していなかったことでお互いに反省するべき点である。
隊長副会長の枠を超えて、各役割と全員連携協力して、相談して合宿を組み立て、無事に満足のいくかたちで合宿を終了することができたことを先に報告する。

 

行程

9月2日

11時00分      西宮北口アクタ下バスターミナルに集合
11時30分      バスターミナルから伊丹空港まで空港バス 約50分
12時20分      伊丹空港着、空港に直接来たメンバーと合流
13時30分      伊丹空港北ターミナル団体受付カウンター25番に集合
14時40分      伊丹空港よりJAL2087便にて那覇空港へ出発
16時45分      那覇空港着、タクシー15分でホテル日光に到着

1日目は移動日。飛行機にはプリムスのカートリッジを持ち込めないのでホテル日光より徒歩十分の国際どおりにある、野外生活道具店オニヤンマにて必要装備を揃えた。

9月3日

 5時30分      起床、出発準備
  6時00分      ホテル日光出発
  6時30分      那覇港フェリーターミナルに到着、乗船手続き
  7時00分      フェリーあかつきにて那覇港出港
14時10分      和泊港に到着、当面の食糧をAコープで購入
17時00分      宿泊地確保。宿泊地にてミーティング、夕食。
21時00分      翌日の装備の準備を整え、就寝。

2日目に沖永良部島に上陸した。この時点で台風は接近しており、役場のはからいで施設をかしていただく。食糧をAコープで調達するのに時間をかけすぎてしまったことも反省点である。
そして今回何よりの反省点である台風を甘くみたことの影響がこの日にいちばんでた。もし役場からの計らいがなければ我々は暴風雨のなかテントで寝なければならなかったのである。猛省をしなければならない。

 

9月4日

 6時00分      起床
  6時30分      朝食、行動準備
  7時30分      宿泊地出発
  8時00分      海見洞洞口探策
8時30分      海見洞洞口発見 白鳳洞洞口探索へ
9時30分      白鳳洞洞口探索
11時00分      白鳳洞洞口探索失敗、情報収集のため喫茶テダへ
12時00分      喫茶テダにて情報収集
13時00分      白鳳堂洞口探索再開
13時30分      白鳳洞洞口発見 銀水洞洞口探索へ
14時30分      銀水洞洞口探索失敗、一度宿泊地へ
15時30分      白川さんに教わり銀水洞洞口水連洞洞口発見
18時00分      宿泊地にて夕食、反省会
20時00分      就寝

 台風が接近しているがまだ暴風域にはいらないことをラジオで確認し、一日を入る予定の洞窟の洞口探索に徹することにした。みな積極的に動いてくれたので情報収集も順調にい入る予定の洞窟の洞口全てを発見することができた。情報収集の意義と必要性を実感することができた。
現地の案内役をかってでてくれた白川さんにはこの日から合宿終了までいろいろとお世話になった。
9月5日

 8時00分      起床
  9時00分      朝食、
  台風上陸のため活動なし
17時30分      宿泊地にてミーティング
19時00分      夕食、翌日の準備
21時00分      就寝

 台風の暴風域に沖永良部島がはいったため、一日活動を中止しし、宿泊地にて待機するかたちをとった。この日のミーティングのテーマとなったのが、「台風通過後に洞窟内の地盤はゆるんでいないであろうか。」ということで、石灰質の地盤で形成される沖永良部島が台風の影響をどううけるのか全く分からないことから、隊員から明日は慎重に洞口まで装備をつけて出向き、あからさまな危険箇所がないと確認してから、その次の日から沖永良部島での洞内探索を開始するという方針で決定した。一日洞窟に入る機会を失うことになる慎重な判断であったが、沖永良部島という未知のフィールドでは、この判断は正しかったと考えている。隊員全員から意見をきくことのできた、よいミーティングができたと思う。

9月6日

6時30分      起床
7時00分      朝食
7時30分      出発準備
8時00分      宿泊地出発
  8時30分      白鳳洞洞口到着、洞口調査
  9時00分      白鳳洞洞口調査終了、海見洞洞口調査へ
10時00分      海見洞洞口到着、洞口調査準備
10時30分      海見洞洞口調査終了。銀水道洞口調査へ
11時30分      銀水洞洞口到着、銀水洞洞口調査
12時00分      銀水洞洞口調査終了、水連洞洞口調査へ
12時30分      水連洞洞口調査終了、宿泊地へ
18時00分      夕食、ミーティング
21時00分      就寝

 一日を入る予定の洞窟の洞口調査に費やしたが、得るものも多かった。白鳳洞ではラダーザイルの設置箇所を確認することができた。海見洞では石灰質の岩壁がもろくところどころ剥がれ落ちるのを確認したが、洞内の様子に変化はないことも確認した。銀水道は水洞窟と聞いていたが、入り口から入る水の量はそれほど多いものではなかった。水連洞では観光洞が切れるところまで歩いてみたが、洞内の水量は入れないほどのものではないことが確認できた。
その日のミーティングで、海見洞と水連洞の二つの洞窟に翌日入洞することを決定した。
9月7日
6時00分      起床
  6時30分      朝食、行動準備
  7時00分      宿泊地出発
  7時30分      海見洞第1洞口到着、入洞開始
  8時00分      海見洞第3洞口到着
10時00分      海見洞第2洞口より出洞、水連洞へ移動。
11時30分      水連洞到着、入洞開始
14時30分      水連洞出洞
15時00分      撤収準備完了、宿泊地を野営場に移動。
16時00分      野営場到着、ミーティング
18時00分      夕食
20時00分      翌日の準備、就寝

 沖永良部島にきてようやく海見洞に入道することができた。沖永良部島まで来た甲斐があったと感じることのできる素晴らしい洞窟であった。水連洞はリムプールの連続する、沖永良部島でしか体験することのできない洞窟であった。
一日に二つ洞窟に入洞することも身体的な負担にはならず、終始積極的に洞内探索をおこなうことができた。

9月8日
  6時30分      起床
  7時00分      朝食、出発準備
  8時00分      野営場出発、仲川隊員をフェリー乗り場まで送る。
9時00分      白鳳洞洞口到着、ラダー、ザイル設置
9時30分      白鳳洞入洞開始
13時30分      白鳳洞出洞完了。撤収
18時00分      野営場にて夕食、ミーティング
24時00分      就寝
 
  仲川が急な用事ができたために一人先に合宿を終了し、残念ではあるがフェリーにて沖永良部島より帰路についた。
白鳳洞が今回の合宿の中で最大の難関であろうと予想していた白鳳洞であるが、実際7人の人数で20メートルのザイルを下り、ラダーを上がるのは大変エネルギーを使うものであった。洞内はなにもかもスケールが大きく、さらに地下へ降りる大穴も発見したが、我々の装備では足りないので断念した。今回探索したのは白鳳洞のごく一部であり、今後さらに探索の手を広げる欲にかられる魅力的な洞窟であった。

9月9日

 5時00分      起床
  5時30分      朝食、行動準備
  6時00分      野営場出発
  6時30分      銀水洞入洞
  9時00分      銀水洞巨大お化けフローストーン到着
10時30分      銀水洞出洞完了
12時30分      小川隊員、諏訪隊員撤収準備
14時30分      小川隊員、諏訪隊員飛行機にて帰路へ、二人は合宿終了。
16時00分      野営場到着、撤収準備
17時00分      夕食
19時00分      翌日帰還する準備を整え、就寝

 銀水道は本当に素晴らしかった。我々をあきさせないように気を配ってくれているように様々な変化にとんだ洞内であった。3メートルほど全身もぐらなければ先に進めない箇所があり、進退を考えたが、隊員全員の積極性がこの難関を突破する原動力となり無事突破し、その先にはリムプール群、巨大モヤシ、分かれ道などを突破し、この洞窟の最大の見所である超巨大お化けフローストーンに到達することができた。達成感はものすごいものであり、この合宿最後の洞窟を飾るにふさわしいものであった。
  小川隊員と諏訪隊員は飛行機にて先に帰路につき、残りのメンバーは野営場の撤収と身辺の整理を整えて、明日の帰還にそなえた。

9月10日
     
  5時30分      起床、テント撤収
  6時30分      朝食
  7時00分      大山野営場撤収
10時00分      野営場宿泊費支払い、レンタカー返却
10時30分     ☆隊員小川、諏訪、那覇空港3階JAL団体ツアーデスク集合 
11時30分     ☆隊員小川、諏訪、那覇空港よりJAL2082便に搭乗
13時25分     ☆隊員小川、諏訪、伊丹空港に到着、解散。
15時30分      伊延港にてフェリーなみのうえに乗船
16時00分      フェリーなみのうえにて伊延港より那覇港へ出港
24時30分      那覇港に到着。合宿終了
9月12日
10時30分      那覇空港3階JAL団体ツアーデスク集合
11時30分      那覇空港よりJAL2082便に搭乗
13時25分      伊丹空港に到着、解散。全日程終了

行動簡略図

9月2日   伊丹空港→JAL2087便→那覇空港→ホテル日光
9月3日   ホテル日光→那覇港→フェリーあかつき→和泊港→レンタカー→大山野営場
9月4日   洞口探索
9月5日   台風のため待機
9月6日   洞口調査
9月7日   海見洞、水連洞入洞
9月8日   仲川隊員帰還、白鳳洞入洞
9月9日   銀水洞入道 諏訪隊員、小川隊員帰還。
9月10日  全隊員、那覇に帰還、合宿終了
9月12日  伊丹空港に帰還、全日程終了

全体の反省、感想

台風の影響で日程が大幅にずれることになったが、4つの洞窟に入洞でき、それぞれにすばらしい体験をできた良い合宿であったと感じている。装備、食糧、記録、副隊長とも、皆それぞれの仕事のできるかぎりを発揮してくれたと思う。事前の強化合宿や、岩場でのトレーニングからそれぞれにやる気をだし、隊員全員で合宿をつくってくれたことを感謝したい。今後はその仕事の質を高めていく方向に力をいれることができるとおもうので、よりいっそう合宿のレベルがあがるのではないかと考えている。
  台風の脅威を甘く見ていたためにこのような日程の変更があったのは隊長として反省するべき点であると感じている。
  沖永良部島の洞窟は、我々が予想していたものをはるかに超え、それぞれにオリジナリティーにあふれたすばらしい洞窟ばかりであった。今回入洞した洞窟もまだまだ探索しきれていない上、沖永良部島にはなんと300を超す洞窟がまだまだ控えている。9月17日付けの新聞では沖永良部島に総延長9150メートル国内第二位の洞窟が確認されたと記されており、今後の目標となる洞窟の一つとなるのではないかと考えている。
  まだまだ改善点は山ほどあり、身につけるべき技術も備わっていないので、今後合宿を繰り返し、上へ上へと自身と探検会全体を高めていきたいという意欲がわいた。
  一人盛り上がってしまったが、是非何度でも沖永良部島に出向きたいと思う。今回のメンバーに加え、沖永良部島を体験していないメンバーもつれていき、是非実感してもらいたい。無事に合宿が終了して本当に良かった。

文責 安岡裕介

関西学院大学探検会